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ERABI(えらび)

ERABIは、Jevっぽい「状況を読んで候補を選ぶ」動きを、GLiClassを使って再現してみた実験プロジェクトです。Jevの公式版や内部実装の再現版ではありません。

context(状況)、question(判断基準)、2~16個のchoices(候補)から、全候補の確率分布を返します。回答は常に確認対象(review)であり、最大確率は正解の保証ではありません。

インストールと最初の推論

Python 3.11以上が必要です。PyTorchのGPU版を使う場合は、先に利用環境に合うPyTorchをインストールしてください。

python -m pip install erabi
erabi predict --request '{"schema_version":"1","context":"7冊のノートと2個の消しゴムを買った。","question":"全部で何個?","choices":[{"id":"nine","text":"9個"},{"id":"ten","text":"10個"}]}'

上のワンラインはPowerShell 7でも動作確認済みです。入力をファイルに保存して erabi predict --request request.json としても使えます。初回は選択された形式のモデル(約0.88~1.76GB)を取得し、以降はHugging Faceのローカルキャッシュを再利用します。ネットワークが使えない場合は、事前取得したモデルのローカルディレクトリを--model-idで指定してください。

Pythonから使う:仮想環境から sample.py まで

Python 3.11以上で、任意の作業フォルダから実行できます。この後に示すコードをsample.pyとしてそのフォルダへ保存してください(リポジトリを取得済みならsample.pyをそのまま使えます)。以下はWindows PowerShellでPython 3.12を使う例です。py -3.12がない場合は、インストール済みの対応バージョンを指定してください。

py -3.12 -m venv .venv
.\.venv\Scripts\Activate.ps1
python -m pip install --upgrade pip

Linux/macOSでは、代わりにpython3.12 -m venv .venv、source .venv/bin/activateで仮想環境を有効化します。以降のコマンドは有効化した仮想環境内で実行します。PowerShellで有効化が制限される場合は、pythonの代わりに.\.venv\Scripts\python.exeを直接使えます。

使いたい実行方法に応じて、次のいずれか1つを選びます。どの方法でもerabiは同じpipパッケージです。ONNX版でもerabiの依存としてPyTorchはインストールされます。

# CPU + ONNX FP32(推奨): CPU専用PyTorchを先に入れ、ONNX Runtime CPU版を追加
python -m pip install torch --index-url https://download.pytorch.org/whl/cpu
python -m pip install erabi onnxruntime
python sample.py
# CPU + PyTorch safetensors(ONNX Runtimeを使わない)
python -m pip install torch --index-url https://download.pytorch.org/whl/cpu
python -m pip install erabi
python sample.py --model-format pytorch
# NVIDIA GPU + ONNX FP16(対応するCUDA/cuDNN環境が必要)
python -m pip install erabi onnxruntime-gpu
python sample.py --device cuda:0

GPU用PyTorchを明示的に導入する場合は、PyTorch公式のインストール案内で環境に合うコマンドを先に実行してください。onnxruntimeとonnxruntime-gpuは同じ仮想環境に両方入れないでください(ONNX Runtime公式案内)。GPU版でもCUDA Execution Providerが使えなければ、自動選択はPyTorchに戻ります。python -c "import onnxruntime as ort; print(ort.get_available_providers())"で確認できます。

sample.pyはモデルの初期化と1問の推論を試すコードです。追加学習したGLiClassモデルをHugging Faceから取得し、CPU/GPU向けのONNX RuntimeまたはPyTorchで実行します。中身は次のとおりです。

import argparse
from time import perf_counter

from erabi.model_loader import load_engine
from erabi.schema import ChoiceRequest

parser = argparse.ArgumentParser()
parser.add_argument("--device", default="cpu")
parser.add_argument("--model-format", default="auto")
args = parser.parse_args()

print("ERABI: recreating Jev-like choice decisions with GLiClass (experimental, not official Jev).", flush=True)
print("Runtime: ONNX Runtime or PyTorch; model downloaded from Hugging Face.", flush=True)
print(f"[1/2] Loading model (device={args.device}, format={args.model_format})...", flush=True)
started = perf_counter()
engine = load_engine(device=args.device, model_format=args.model_format)
print(f"[1/2] Model ready in {perf_counter() - started:.2f}s (format={engine.model_format})", flush=True)

request = ChoiceRequest.from_dict({
    "context": "ノートを7冊、消しゴムを2個買った。",
    "question": "全部で何個?",
    "choices": [
        {"id": "nine", "text": "9個"},
        {"id": "ten", "text": "10個"},
    ],
})
print("[2/2] Running inference...", flush=True)
started = perf_counter()
result = engine.predict(request)
print(f"[2/2] Inference done in {perf_counter() - started:.2f}s", flush=True)
print("best:", result.best_candidate_id)
print("probabilities:", {choice.id: choice.probability for choice in result.choices})

初回は選択されたモデルを自動ダウンロードします。「初期化」にはモデルの取得・読み込みが含まれ、「推論」は1問を処理する時間です。sample.pyは既定でCPUを使い、ONNX Runtime CPU版があればFP32 ONNX、なければPyTorchを選びます。表示される確率は正解の保証ではありません。

複数の判断をまとめて処理する

Python APIは、質問・文脈・候補数が異なる複数要求をpredict_batchで受け取れます。返却順と各要求内の候補ID順は入力どおりです。内部ではトークン長の近い要求をまとめてpaddingを減らし、処理後に元の順へ戻します。各入力は切り詰め前に上限を検査します。

requests = [
    ChoiceRequest.from_dict({
        "context": "今日の宮崎の天気を知りたい。",
        "question": "次の行動を選んでください。",
        "choices": [
            {"id": "chat", "text": "雑談する"},
            {"id": "web", "text": "Web検索する"},
        ],
    }),
    ChoiceRequest.from_dict({
        "context": "扉の向こうから物音がする。",
        "question": "NPCの行動を選んでください。",
        "choices": [
            {"id": "wait", "text": "待機する"},
            {"id": "open", "text": "扉を開ける"},
            {"id": "leave", "text": "その場を離れる"},
        ],
    }),
]

results = engine.predict_batch(requests)
print([result.best_candidate_id for result in results])

batch_sizeは明示指定もできます(例: engine.predict_batch(requests, batch_size=8))。実測上の既定はPyTorch CUDAが16、CPU PyTorchとONNXが1です。ONNXでも複数要求を一度に渡せますが、現在のランタイムではモデル内部の一括forwardより単件を長さ順に処理する方が速かったためです。

HTTP APIでは最大16要求のPOST /v1/choice/batchを使います。本文は{"requests":[...通常のChoiceRequest...]}、応答は{"schema_version":"1","count":2,"responses":[...]}です。バッチ全体は1 MiB、各要求は64 KiBまでで、途中の1件が不正ならバッチ全体を422で拒否します。

モデルの保存先

ダウンロード先を指定するには、--model-cache-dirを使います。predict、evaluate、python -m erabi.serveで利用でき、トークナイザーと重みの両方に適用されます。保存先に十分な空き容量を確保してください。

erabi predict --request examples/request.json --model-cache-dir ".\model-cache"
$env:ERABI_MODEL_CACHE_DIR = ".\model-cache"
erabi predict --request examples/request.json

Linux/macOSではexport ERABI_MODEL_CACHE_DIR=/data/models/erabi-cacheと設定します。優先順位は--model-cache-dir、ERABI_MODEL_CACHE_DIR、Hugging Face標準のHF_HUB_CACHE/HF_HOME、既定キャッシュの順です。環境変数を変更しても既存のダウンロードは移動されず、新しい場所に再取得されます。--model-idにローカルモデルディレクトリを指定した場合はその場所から読み込み、キャッシュ先の設定はモデル自体の移動には使われません。

ERABI 0.1.4の既定モデルは、World Choice追加学習後の3形式を含む検証済みHugging Faceリビジョン72ef0212cddae20486009f9e4ce2498c75bb0b0cに固定しています。0.1.3は以前のExam-QA版を既定としていました。Windowsでシンボリックリンクを使えない環境ではモデルカード更新だけでも別リビジョンのキャッシュが重複し得るため、再現可能なweights commitへ固定しています。別のリビジョンを意図的に使う場合は--revision mainまたはコミットIDを指定してください。

モデル形式の自動選択とおすすめ

形式選択はERABI 0.1.2以降の機能です(0.1.1以前はPyTorch版のみ)。既存環境はpython -m pip install --upgrade erabiで更新できます。--model-formatを省略するとautoです。--deviceを省略した場合はCUDAが利用可能ならcuda:0、そうでなければcpuを選びます。ONNX Runtimeが使える場合、CPUではFP32 ONNX、CUDA Execution Providerが使えるGPUではFP16 ONNXを必要な形式だけHugging Faceから取得します。ONNX Runtimeがない場合や、CUDA Execution ProviderがないGPUでは従来のPyTorch safetensorsに戻します。別のHugging FaceモデルIDは互換性維持のためautoでPyTorchを使い、明示指定すれば同じONNX配置のモデルも利用できます。

利用形態 おすすめ 理由
NVIDIA GPU + 対応するONNX Runtime GPU版 auto → onnx-fp16 下記ベンチマークでp50が35.90→19.00ms、元weightsと最上位90/90一致
CPU + ONNX Runtime CPU版 auto → onnx-fp32 下記ベンチマークでp50が366.73→201.67ms、元weightsと最上位90/90一致
ONNX Runtimeなし・互換性優先 pytorch pip install erabiのみで動作し、元のsafetensorsを使用

これらはPractical V1の未レビュー合成90件での比較であり、人手goldでの品質保証ではありません。INT8版は今回の量子化設定で予測が大きく変わったため、自動選択・公開対象から除外しました。

PyTorchのGPU版を使う場合は公式案内で環境に合う版を先に導入します。ONNX RuntimeはCPUならpython -m pip install onnxruntime、NVIDIA GPUなら環境に合うonnxruntime-gpuを導入してください。両パッケージを同じ仮想環境に同時インストールしないでください(ONNX Runtime公式案内)。GPU版はPyTorch、CUDA、cuDNNと互換な版を公式CUDA表で確認してください。

erabi doctor
erabi predict --request examples/request.json --device cpu
erabi predict --request examples/request.json --device cuda:0
erabi predict --request examples/request.json --model-format pytorch
erabi predict --request examples/request.json --model-format onnx-fp32 --device cpu
erabi predict --request examples/request.json --model-format onnx-fp16 --device cuda:0

ERABI_MODEL_FORMAT=onnx-fp32のように環境変数でも指定できます。優先順位は--model-format、ERABI_MODEL_FORMAT、autoです。明示指定したONNX形式がそのデバイス・実行環境に対応しない場合は、別形式へ黙って切り替えずエラーにします。Python APIではfrom erabi.model_loader import load_engineを使い、load_engine(model_format="auto", device="cpu")のように指定します。predict、evaluate、ローカルHTTP APIの--model-formatで同じ選択ができます。

無指定の既定値は公開済みのERABI Practical V1実験モデルです。正式合格モデルではなく、未レビュー合成データで追加学習した未校正weightsです。別のモデルを使う場合はローカルパスまたはHugging FaceのモデルIDを指定できます。

erabi predict --request examples/request.json --model-id path/to/checkpoint
# または、利用するモデルIDを既定値として設定
export ERABI_MODEL_ID=owner/model-name
erabi predict --request examples/request.json

erabi doctor はCPU/CUDAと空き容量を表示します。erabi evaluate --input examples/smoke_cases.jsonl --output-dir runs/smoke は評価ファイルを処理します。ローカルHTTP APIはオプション依存を入れて python -m erabi.serve --model-id path/to/checkpoint で起動します(localhost限定)。

入出力とデータセット形式

推論入力はUTF-8 JSONです。候補のidと順序を保ち、全候補のlogitsに対して1回だけSoftmaxを適用します。入力全体が512トークンを超える場合は無言で切り詰めずにエラーにします。

{
  "schema_version": "1",
  "context": "文房具店でノートを7冊、消しゴムを2個買った。",
  "question": "全部で何個買った?",
  "choices": [
    {"id": "a", "text": "9個"},
    {"id": "b", "text": "10個"}
  ]
}

出力のchoicesは各候補のidとprobabilityを入力順で返し、best_candidate_idは最大logitの候補を示します。decision.statusは既定でreview、未校正のcalibration.statusはnoneです。例はexamples/request.jsonを参照してください。

学習・評価データは1行1問のJSONLです。上の入力に加えて、最低限id、group_id、targetを付けます。group_idは同じ原題の言い換えや候補順序違いをまとめ、train/dev/calibration/final_test間で重複させません。

{"schema_version":"1","id":"sample-001","group_id":"story-001","context":"ノート7冊と消しゴム2個を買った。","question":"全部で何個?","choices":[{"id":"a","text":"9個"},{"id":"b","text":"10個"}],"target":{"kind":"hard","choice_id":"a"},"language":"ja","family":"everyday_arithmetic","review_status":"unreviewed"}

target.choice_idは選択肢のIDを参照し、選択肢を並べ替えても正しいIDを保ちます。language、family、review_statusなどは出所・品質の追跡用メタデータです。合成教師ラベルを人手確認済みgoldと呼ばないことが重要です。Practical V1のデータ説明に生成・監査の詳細があります。

学習と評価で得られた知見

2026-09-22時点の追加学習実験では、凍結RC3(約438Mパラメータ)からPractical V1のtrain 2,414問のみで1 epoch、151 optimizer steps、peak LR 2.5e-6、microbatch 2・勾配蓄積8、fp16 AMPを実施しました。dev 399問と旧RC3 Bridge 480問で選定し、eval 386問は選定後に一度だけ評価しました。

セット 学習前 学習後
Practical V1 dev 59.90% (239/399) 77.19% (308/399)
Practical V1 eval 61.66% (238/386) 76.17% (294/386)
旧RC3 Bridge 88.75% (426/480) 88.54% (425/480)

新データでは日常算数23/68→48/68、ツール選択50/70→62/70、JSONログ判断51/69→65/69と改善しましたが、読解は54/71→50/71に低下しました。候補順序の入替一致率は旧Bridgeで97.29%→97.50%でした。同一教師モデルが作成・再判定した未レビュー合成データ上の結果であり、独立した人手goldでの汎化性能、実在入試問題の成績、Jevとの同等性は示しません。現時点では校正・正式リリースも未実施です。

Practical V1は日本語・英語・簡体字中国語の6分野(日常算数、ツール選択、会話の次行動、JSON会話ログ、読解、創作入試風)で構成されます。実在の入試問題や私的会話ログは利用していません。より信頼できる評価には、人手ラベル監査と独立した実問題が必要です。

再現用コードはscripts/train_practical_v1.py、監査結果はdata/practical_v1/audit.jsonにあります。この学習スクリプトの再実行には別途RC3チェックポイントがrelease/rc3/modelに必要です。GPU学習と大容量weightsはpipパッケージに含まれません。

Exam-QAを使った追加実験(2026-09-23)

非公開のExam-QA 374件を、そのまま学習へ流さず、deepseek/deepseek-v4.1-flashでERABI形式へ選別・変換しました。固定seedで形式を分散させた10件を先に3回処理し、最終v3では「判断不能なら早期skip」、1024 tokens超のAPI送信前除外、図・複数正解・不完全な複数空欄・部分点式証明の除外を明示しています。記号選択肢は元の選択肢本文へ対応付け、自由記述だけは公式解答を正解候補としてDeepSeekに同型の誤答候補を作らせ、ローカル検証を通したものだけ採用しました。

全374件中217件を採用、157件を除外しました。分割は原題グループ単位で、train 175件、valid 37件です。validは元資料に正式な選択肢がある問題だけに限定し、DeepSeek生成の誤答候補はtrainにだけ入れています。5件はvalid側グループに属する生成候補だったため両方から除外しました。日本語104件・英語113件、入力長は最大860 tokensです。

Practical V1 checkpointにExam-QA 175件とPractical replay 175件を混ぜ、max_length=1024、2 epoch、学習率1.5e-6で追加学習しました。選定されたepoch 1の結果は次の通りです。

セット 追加学習前 追加学習後
Exam-QA valid(独立group、公式選択肢のみ) 21.62% (8/37) 24.32% (9/37)
Practical V1 dev 77.19% (308/399) 78.20% (312/399)
旧RC3 Bridge 88.54% (425/480) 88.54% (425/480)
Practical V1 teacher-agreed eval 76.17% (294/386) 75.65% (292/386)

改善はExam-QA validで1問だけなので、入試問題への一般化を確立したとは見なしません。データはDeepSeek選別済みですが人手gold監査前で、出典ごとの再配布条件も未確認です。このためExam-QA由来のJSONL、API応答、変換ログはGit/Hugging Faceへ公開していません。変換・学習手順だけをscripts/build_exam_qa_erabi_v1.pyとscripts/train_exam_qa_erabi_v1.pyで公開します。入力データを正当に用意した環境でのみ再実行できます。

新checkpointからONNX FP32/FP16も再生成し、非公開valid 37件(最大853 tokens)でPyTorchとのTop-1一致37/37を確認しました。公開実験モデルはこのcheckpointへ更新しましたが、pip/APIの既定入力契約は安全側の512 tokensのままです。max_tokens=1024は前処理のmax_lengthも同時に変更し、切り詰め前の長さを検査する実験用途に限ります。

Practical V1 推論最適化の実測

2026-09-22、Windows、RTX A4000 16GB、PyTorch 2.6.0+cu124、ONNX Runtime 1.21.0で、同じPractical V1 checkpointを比較しました。CPUはPyTorch safetensors、ONNX FP32、動的INT8、静的QDQ W8A8、GPUはPyTorch safetensors、ONNX FP16、静的QDQ W8A8を試しています。90件はeval_teacher_agreed.jsonlから分野・言語別に抽出した未レビュー合成ラベルです。全モデルで温度1.0、全90件の予測確認後に8回ウォームアップし、40回の単件レイテンシを測定しました。

実行先・形式 重み/ONNX容量 p50 / p95 元weightsとの最上位一致 合成教師ラベル一致
CPU PyTorch safetensors 1.75 GB 366.73 / 521.44 ms 基準 69/90
CPU ONNX FP32 1.76 GB 201.67 / 378.73 ms 90/90 69/90
CPU ONNX 動的INT8 1.04 GB 120.42 / 236.11 ms 49/90 42/90
CPU ONNX 静的QDQ W8A8 0.84 GB 908.17 / 1,142.89 ms 33/90 36/90
GPU PyTorch safetensors 1.75 GB 35.90 / 44.12 ms 基準 69/90
GPU ONNX FP16 0.88 GB 19.00 / 22.80 ms 90/90 69/90
GPU ONNX 静的QDQ W8A8 0.84 GB 84.75 / 89.44 ms 29/90 27/90

この測定ではCPUはONNX FP32、GPUはONNX FP16が速度と出力一致の両面で有望でした。FP32の最大確率差は元weights比で最大0.00000493、FP16は最大0.00374でした。動的/静的INT8は軽量化できても予測が大きく変化し、静的版はCPU/GPUとも遅くなりました。静的W8A8はONNX RuntimeのMinMax校正によるQDQであり、SmoothQuantではありません。INT8版は配布・自動選択の対象外です。FP32/FP16版も、独立goldでの確認や校正は未実施です。

2026-09-27のWorld Choice V1公開weightsをRyzen 7 5800X(8C/16T)・推論8 threads・batch 1で追加測定しました。404件(実入力31〜747 tokens)を各方式の独立した新規プロセスで処理した参考値です。

CPU形式 単件p50 / p95 平均処理量 ウォームアップ後RSS 推論中ピークRSS 平均CPU使用量
ONNX FP32(推奨) 474 / 1,206 ms 1.93件/秒 2.34 GiB 2.59 GiB 7.95論理CPU相当(ホスト全体49.7%)
PyTorch FP32 610 / 1,230 ms 1.55件/秒 1.77 GiB 2.23 GiB 7.94論理CPU相当(ホスト全体49.6%)

ONNX FP32の入力長別p50は128 tokens以下137ms、129〜256 tokens 402ms、257〜512 tokens 690ms、513〜747 tokens 1,593msでした。8 threads設定なので、16論理CPUのうち約8個をほぼ使い切る挙動です。推論プロセスだけで最大約2.6 GiBを使ったため、実運用では1プロセスにつき少なくとも約3 GiBの空きRAMを見込み、OSや他アプリも含めるなら8 GB以上のシステムRAMを現実的な出発点としてください。並列ワーカーを増やす場合、RAM消費は概ねプロセス数に応じて増えます。

バッチ処理の実測

2026-09-28、World Choice final 404件(31〜747 tokens)をトークン長順に内部バケット化し、tokenizeを含む全件wall timeで比較しました。RTX A4000は高温・他プロセス使用中のためGPUの絶対値は参考値です。

backend batch 1 最良の測定batch 結果
PyTorch CUDA 6.16件/秒 batch 16: 6.84件/秒 1.11倍、Top-1 404/404一致
ONNX FP16 CUDA 27.33件/秒 batch 16: 20.84件/秒 0.76倍、batch 1が最速
ONNX FP32 CPU(8 threads) 2.00件/秒 batch 2: 1.84件/秒 0.92倍、batch 1が最速

PyTorch CUDAでは小幅に処理量が増えました。一方、既定の高速経路であるONNXはCPU/GPUとも一括forwardで遅くなったため、自動推奨値を1にしています。ONNX FP16のbatch 4/8は丸め差で境界的な1件だけTop-1が変わり、batch 16は404/404一致でした。再現コードはscripts/benchmark_world_choice_batch.py、生の測定値はruns/world_choice_v1_batch_benchmark_20260928/です。

初期化時間はディスクキャッシュやウイルス対策ソフトの影響が大きく、同日実測でONNX 8.73〜33.42秒、PyTorch 2.20〜10.57秒でした。RSSはモデルファイル容量ではなく、Python・ランタイム・展開済みweights・一時バッファを含むプロセスの実使用量です。ERABI 0.1.4はこの測定に使ったHugging Face commit 72ef0212cddae20486009f9e4ce2498c75bb0b0cを既定にしています。速度とRAMはCPU、threads、電源設定、同時負荷、入力長、候補数に依存します。

CUDA 13.2比較(PyTorch safetensors)

2026-09-27、RTX A4000 16GB、World Choice final 404件、batch 1、8回ウォームアップで、エンジン初期化、同期済み単件推論、PyTorch allocatorのVRAMを測定しました。CUDA 13.2は隔離venvのtorch 2.12.0+cu132で実行し、torch.version.cuda == "13.2"と実CUDA演算を確認しています。

環境 回数 初期化 p50 処理量 ウォームアップ後VRAM 推論ピークVRAM
現行 torch 2.6.0+cu124 1 6.72秒 240.34ms 4.29件/秒 1,681.5MiB 1,963.4MiB
統制 torch 2.12.0+cu130 2 平均6.20秒 平均236.66ms 合計4.19件/秒 1,681.5MiB 1,963.4MiB
比較 torch 2.12.0+cu132 2 平均6.38秒 平均236.77ms 合計4.18件/秒 1,681.5MiB 1,963.4MiB

同じPyTorch 2.12.0で比較すると、CUDA 13.2は13.0比でp50が0.05%遅く、合計処理量が0.23%低く、VRAMは同一でした。これは測定誤差範囲で、CUDA 13.2による速度・VRAM改善は確認できません。現行12.4比では13.2の初回p50が約2%速く見えますが、PyTorch 2.6→2.12の変更も含むためCUDAだけの効果とは判定できません。

全runでGPUは90〜93℃、SM clock中央値210MHzまでサーマルスロットリングしており、この値は通常冷却時の絶対性能ではなく同一高温条件での相対比較です。全runで教師一致255/404、ピーク予約VRAM 2,070MiBでした。なお、この比較はPyTorch safetensorsエンジンです。onnxruntime-gpuのCUDA RuntimeはPyTorch wheelとは独立しているため、PyTorchをcu132へ替えてもONNX FP16エンジンは高速化されません。現時点ではCUDA 13.2への移行を推奨する根拠はありません。

再現にはリポジトリをチェックアウトし、開発用仮想環境へpip install -e ".[dev]"、環境に合うonnxruntimeまたはonnxruntime-gpuとonnxを導入します。以下は公開モデルをHugging Face CLIで別ディレクトリへ取得する例です(約1.75GB、十分な空き容量が必要)。実験結果はruns/配下(Git管理外)へ書き、モデルと評価結果の既存ファイルは上書きしないでください。

$out = "runs/practical_v1_optimization"
$checkpoint = "$out/checkpoint"
hf download sugarknight/erabi-practical-v1-experimental model.safetensors config.json tokenizer.json tokenizer_config.json --local-dir $checkpoint
python -c "from pathlib import Path; from scripts.export_rc3_onnx import export_fp32_model, export_fp16_model; p=Path('$checkpoint'); o=Path('$out'); export_fp32_model(p,o/'fp32'); export_fp16_model(p,o/'fp16')"
python scripts/benchmark_practical_v1_runtimes.py quantize --mode dynamic --fp32-dir "$out/fp32" --output-dir "$out/int8_dynamic_cpu"
python scripts/benchmark_practical_v1_runtimes.py quantize --mode static --fp32-dir "$out/fp32" --output-dir "$out/int8_static_w8a8" --train-file data/practical_v1/train.jsonl --calibration-count 128
python scripts/benchmark_practical_v1_runtimes.py benchmark --backend pytorch --device cuda --model-dir $checkpoint --output "$out/results/pytorch_cuda.json"
python scripts/benchmark_practical_v1_runtimes.py benchmark --backend onnx --device cuda --model-dir "$out/fp16" --output "$out/results/onnx_fp16_cuda.json"
python scripts/benchmark_practical_v1_runtimes.py compare --baseline "$out/results/pytorch_cuda.json" --candidate "$out/results/onnx_fp16_cuda.json"

CPU比較は同じbenchmarkコマンドで--device cpuを指定し、--backend pytorch --model-dir $checkpoint、または--backend onnx --model-dir "$out/fp32" / "$out/int8_dynamic_cpu" / "$out/int8_static_w8a8"をそれぞれ実行します。GPU静的INT8も--backend onnx --device cuda --model-dir "$out/int8_static_w8a8"で測れます。既定の90件・8回ウォームアップ・40回計測を変更する場合は--cases、--warmup、--iterationsを指定します。静的量子化の128件はtrainのみから取り、評価90件を校正には使いません。モデル読込・エクスポート・量子化の時間は単件レイテンシに含みません。測定値はハードウェア、実行環境、入力長によって変わります。

2k入力の探索実験(2026-09-22)

現行の配布版は引き続き512トークン上限です。約2kを試すにはERABIの上限だけでなく、GLiClass前処理の既定1024トークン切り詰めも実験時に変更する必要があります。診断スクリプトは整形後の入力長を切り詰め前後で照合します。以下はRTX A4000 16GB、Practical V1実験weights、4候補、batch 1での予備測定です。

実入力長 PyTorch GPU p50(10回の初回測定) ONNX FP16 GPU p50(10回の初回測定) PyTorch推論peak割当
508 84.6ms 46.1ms 1,836MiB
1,012 217.5ms 136.0ms 2,152MiB
2,038 701.5ms 579.5ms 3,326MiB

レイテンシは入力長とともに大きく増え、長時間・高負荷時にはさらに変動します。学習の単一optimizer step(batch 1、fp16 AMP)は508トークンで約0.80秒・peak割当8,387MiB、2,038トークンで約9.63秒・19,020MiBでした。2k学習は16GB GPUで実用的とはいえず、収束や長文精度も未検証です。学習診断コード。

NPCツール選択のCodex起草130件は2k動作診断専用で、学習・正式評価データには使用しない。データ本体と説明はローカルに留め、Gitでは公開していない。未学習モデルでの暫定診断はdev 19/26、eval 18/26、512超の長文では各1/2で、PyTorchとONNX FP16の最上位選択は52/52件一致した。テンプレートを分割間で共有し、ラベルも未レビューなので、これを実運用精度やJevとの比較には用いない。評価スクリプト。

学習・評価の候補として、DeepSeek V4.1 FlashでゲームNPCのマルチターン会話198件も生成しました。データ本体は非公開です。train 140/dev 28/eval 30で、20件が512超、最長1301トークン。Web、画像・動画生成、コマンド、スクリーンショット、画像解析、ゲーム状態・クエスト・経路探索、ツールなしの会話を可変候補から選びます。旧モデルweightsの2048上限診断ではdev 26/28、eval 27/30、PyTorch↔ONNX FP16の選択は58/58一致しました。教師ラベルは人手確認前で、このデータによる追加学習も未実施です。同じ行動対照パターンが分割間で再登場するため、独立gold精度やJev同等性は示しません。

1k上限の追加診断

約1k(実際は1012トークン)なら、上表の初回10回測定でGPU単件推論p50はPyTorch 217.5ms、ONNX FP16 136.0ms。512相当(508トークン)の84.6ms/46.1msより遅いが、2kより大幅に軽い。単一optimizer stepのmicrobatch 2・fp16 AMP・AdamWでは508→1012トークンで約0.76→1.09秒、PyTorch peak割当8,386→12,191MiB、peak予約8,652→14,580MiBで、両方ともstepを実行できた。ただし1 stepだけなので連続学習の安定性や精度向上は未検証。DeepSeek NPC 198件のうち190件は1024以内、8件は超過。dev/evalの適合55件だけを切り詰めずにONNX FP16で評価するとdev 26/27、eval 26/28で、超過3件は除外した(2k評価と母数が異なる)。評価コードは除外IDを出力に残す。

現行GLiClass前処理の既定値は1024で、先に切り詰めてからERABIが長さを確認する。したがって単にERABIの上限を1024へ変えると超過入力を黙って切り詰める可能性があり、正式な1k対応には事前トークン数検証と前処理の修正が必要。配布版は512のまま。

開発とライセンス

python -m pip install -e ".[dev]"
python -m pytest tests -q

コードはMIT Licenseです。ベースモデルと学習済みweightsには別のライセンスが適用されます。THIRD_PARTY_LICENSES.mdを参照してください。

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BLAKE2b-256 checksum
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80276258522367749eebda7cf38219b8beebaf124a2e14a24a4ed5c5ace533d4
BLAKE2b-256 checksum
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